Hana奥川恒治が綴る日々のblog

2012.03.19過去のHana一年目の「熊野」

早いもので「熊野」が済んで一週間経ちます。ご来場戴きました皆さま、まことにありがとうございました。 今年は冷え込みが厳しく、長い冬のため梅が遅れなかなか花の気分になりませんが、そろそろ春の足音が聞こえてきそうです。熊野が満開の桜を見るために出掛けたように、心浮き立つ花が待ち遠しい今日この頃です。

今回私が着ていた装束は紅が濃く、紅白の地色がとても引き立つ唐織でした。歴代の諸先輩もこの唐織で、熊野を勤められていることが多く憧れの装束だったわけです。今回着させて戴き、念願がかないました。
「村雨留」の小書も付き、舞いの途中で春雨が降り、花を散らすため舞い止めてしまう、洒落た演出にもさせて戴きました。

九皐会当日は3月11日、奇しくも震災より丁度一年目にあたる日でした。そのため会では追善の『海士』の連吟で始まりました。『海士』は亡くなった母の追善、親子の再会、成仏の物語なので、この日にふさわしい曲でした。また、14:46は休憩時間にし、個々に黙祷を捧げることもできました。
私自身は一年目にあたる日の舞台、熊野が母と再会するように、「再会」を念頭に勤めた舞台でした。まだまだ復興には時間がかかりそうですが、花を見て楽しむような豊かさを取り戻す日が、一日も早く来ることを祈っております。

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