過去のHana上演曲目「草子洗小町」の開設

2006.03.27

長く厳しい冬も終わり春が訪れました。「春宵一刻[しゅんしょういっこく]値千金[あたいせんきん]
」(春の宵のひと時は千金に値する)、そぞろ歩きなどしたくなる季節です。

4月9日九皐会で「草子洗小町」を勤めさせていただきます。小町を取り扱った能と言えば「老」をテーマにしているものが多い中、この曲は若く美しい盛りの小町を主人公にし、現代でも十分に通じる劇的なストーリーを展開します。


小野小町
[
おののこまち
]

(前シテ)と

大友黒主
[
おおとものくろぬし
]

(ワキ)は歌合をすることになりました。歌合の前日小町は自宅で歌合のための歌を詠みます。小町には敵わないと黒主は小町宅へ忍び込み歌を盗み聞きし万葉集に書き込みます。<中入>

帝(子方)をはじめ小町(後シテ)、黒主(後ワキ)、貫之(ツレ)など名だたる歌人が一堂に会し華々しく歌合が始まりました。帝の号令のもと貫之が小町の歌を読み上げます。帝が小町の歌を絶賛すると黒主はかねてからの計画通り小町の歌を古歌と帝へ訴えます。身に覚えのない小町は悲嘆に暮れるもののその草子の異変に気づき、草子を洗いたいと申し出ます。小町が洗ってみると不思議なことに加筆した歌は消えてしましいました。羞恥のあまり自害しようとする黒主を小町がとりなし、その情熱と和歌の徳をたたえ祝言の舞を舞うのでした。

劇的なストーリーを和歌の名手尽くしという豪華キャストでお送りする芝居といった所ですが、黒主が小町より一時代前の人であったことからも史実ではありません。

古今集の仮名序に黒主はこのように評されています
「心は高くてそのさまいやし、いはば薪負へる山人の花の陰にやすめるが如し」
この一文によって本曲の黒主の役割が決まったのでしょうか。
「黒主」、現代風に言うとダークサイド? そんなイメージを持つ名前ですが、なんとも本人には気の毒な話ですね。

~観世九皐会4月定例~ ※完売御礼※

能『草子洗小町』シテ:奥川恒治 子方:奥川恒陽
狂言「茶壷」野村万蔵
能『雲林院』長沼範夫

日 時  平成18年4月9日(日)午後1時開演
場 所  矢来能楽堂

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観世流能楽師 奥川恒治能のHana

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