道成寺へ向けて・熊野紀行 その拾・完結編 | 能のHana

過去のHana道成寺へ向けて・熊野紀行 その拾・完結編

2010.06.07

那智の滝を目の当たりにし、所の人にお尋ねしてみますと、
ここではこの滝が神体であると教えて戴きました。
そこで私はある思いに至りました。
人間の創造をはるかに超えた瀑布、それを目の当たりにした人は
畏敬の念を抱いたのではないかと。
 
そしてそこにはやがて多くの求道者も集まるようになっていった。
神も仏も修験も全てはこの滝の周りで人が作っていったもので、
人知の及ばない自然の匠による創造は圧倒的であり、
人々は何かを越えようと願い、畏れ、敬ったのではないかと。

道成寺の再演に向けて紀州熊野権現にお参りに行きましたのが、
一月のことなので瞬く間に半年が経ちました。
初演時には紀州道成寺にお参りをして説法を拝聴し、
日高川へ行き古跡を訪ねました。
能「道成寺」のシテが女性(清姫)のため、
何となく清姫目線で回ったような気がします。
今回熊野に伺いまして、男性(安珍)の目線にも立てたように思います。

気が付けば上演日もすぐそこまでスルスルっと近付いてきました。経験してきたことや自身の思い、それを舞台で遺憾無く発揮し、実現できるように備えて参りたいと存じます。

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観世流能楽師 奥川恒治能のHana

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