過去のHana初心

2010.07.02

早いものであっという間に月が変わってしまいました。お陰様をもちまして第五回奥川恒治の会・私の「道成寺」も無事に済みました。ご来場いただきました皆様、ご声援いただきました皆々様には、この場をお借りしまして改めて御礼申し上げる次第です。

私は年間を通して、シテを舞う回数がさほど多くありませんので、一曲を再演する機会も少ないのですが、かつて2・3番ありました。初演と再演では精神的な面は勿論、体力的なペース配分のようなものも何となく体が学習していてくれるので、再演時は少し気分的に違うのですが…「道成寺」は全く別物でした。油断していたわけではけしてないのですが、道行が終わって「日高の寺に着きにけり」の頃には随分消耗していました。早い段階で随分消耗したものだと我ながら驚きました。
結局は初演時と同じ、いやそれ以上に精神的にも体力的にも追い詰められたように思います。

済んでみて少し時間が経って、頭に浮かんでくる言葉がありました。「初心忘るべからず」、それも「時々の初心忘るべからず」でした。
「道成寺」の舞台は結局幕前に立って、幕に帰るまで、考えていたことを実現したと言うよりは、稽古で体が覚えていたことができた、そんなふうに思います。
何も考えずに舞台に出ることはありませんが、改めて大切なことを実感したように思います。
稽古を反復する中でしか得られないものがあり、それが舞台という板の上に残せるものなのかもしれません。今回の経験が、これからの舞台の取り組み方に少なからず影響を与えることは間違いないです。

「初心忘るべからず」、この言葉を胸にこれからも益々精進して参ります。みなさま今後ともよろしくお願い申し上げます。

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観世流能楽師 奥川恒治能のHana

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