Hana奥川恒治が綴る日々のblog

2012.02.21過去のHana3月九皐会上演します「熊野」のご紹介です

立春が過ぎたとは申しますものの、まだまだ寒い日が続いております。巷ではインフルエンザも流行り心穏やかではありませんが、お変わりなくお過ごしでしょうか。
今年の九皐会では3月に「熊野」をさせて戴きます。今年NHKの大河ドラマでは平清盛が主人公です。ドラマの清盛はこれから、という感じですが「熊野」は平家全盛の時の話です。

清盛の次男宗盛(ワキ)は池田の宿の遊女熊野(シテ)を都に住まわせていました。故郷の老母は度々帰郷を望み、熊野も宗盛に暇を願い出ますが聞き入れられませんでした。
故郷より朝顔(ツレ)が文を携え熊野のもとにやって来ます。文を見た熊野が宗盛の所に行くと、宗盛は文を読むよう命じます。熊野が読み上げた文には、母が今年ばかりの花と自分を喩え、帰郷を切望するものでした。それでも宗盛はこの春ばかりの花を見捨ててはと、牛車に熊野を乗せ出掛けます(牛車に模した花見の作り物が舞台上に出ます)。四条五条と橋を渡り、春に浮き立つ人々の中を華やかな花見車が進むものの、熊野の心は裏腹に沈むばかりです。清水寺に着き母のことを祈りお参りをしている熊野に、酒宴が始められたことが伝えられます。熊野が舞っていると俄かに村雨が降り、熊野は舞を途中で止めてしまいます。村雨に花が散るのを見ても故郷の母の事が思い出され、涙にむせびながらも一首の歌を詠み宗盛に渡します。

「いかにせん都の春も惜しけれど 馴れし東の花や散るらん」

宗盛も熊野を哀れに思い、暇を許します。熊野は喜びその場から、故郷の母の元へと向かうのでした。

母からの文を読む件、牛車で清水寺に向う道行、「清水寺の鐘の声、祇園精舎をあらわし」で始まる(母への思いでもあり、平家の将来でもある)クセ、舞の途中で舞い止めてしまう村雨止演出、和歌を短冊に書く件と、見どころ、聞きどころ満載の曲です。みなさまのご来場を心よりお待ち申し上げております。宜しくお願い申し上げます。
※入場券は九皐会事務所にて承ります。

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