Hana奥川恒治が綴る日々のblog

2013.02.03過去のHana九皐会別会「烏帽子折」

寒気いよいよ厳しい毎日を迎えております。暖かい春までもうひと頑張りですね。

この度は九皐会別会4月27日(土)13時始(国立能楽堂)のご案内を申し上げます。次男恒成も子方で舞台に出演させて戴くようになりましたが、4月で小学6年生になります。近々声変わりとなり、子方も卒業と言うことになることと思います。今回の曲「

烏帽子
えぼし



おり

」は牛若丸が烏帽子を着け、元服し九郎義経と名を改める話と、

熊坂
くまさか



長範
ちょうはん

という盗賊一味を成敗するという、前後2場面のお話です。子方卒業間近の次男に、子供を卒業し成人する義経の役は、格別なご縁の取り合わせとなりました。

それでは私の上演曲「烏帽子折」のご案内を申し上げます。
(チケットはページ下部から申し込みフォームにてお問い合わせいただけます)

牛若丸(子方)は奥州へ向かう三条の


きち







のぶ



たか

(ワキ)の一行に同行させてくれるように申し入れます。身寄りがないという牛若を吉次は引き受け、共に奥州へと向います。鏡の宿(滋賀県)に着くとそこへ早打ち(アイ)が現れ、牛若が寺を出て奥州へ向かったので、捉えたものには恩賞を出すとふれます。牛若はこのままでは、と元服(烏帽子を着ける儀)を思い立ち、烏帽子屋の亭主(前シテ)に左折の烏帽子を注文します。左折は源氏の折り方、清盛全盛のいまは平家の右折の烏帽子ではと言う亭主に、牛若は仔細あっての事と左折の烏帽子を作ってもらいます。烏帽子を着け見事元服を果たした牛若は、守り刀を烏帽子の代物にと渡します。亭主は見事な代物に喜び、妻(ツレ)に見せますと、妻はその守り刀の謂れを話しはじめます。それは牛若が生まれた時、父義朝から授けられた物で、その使いを自分がしたとのだと話すのでした。二人は烏帽子の主が牛若とわかり、守り刀を返し旅の無事を祈るのでした。
牛若は名を九郎義経と改め、吉次一行と赤坂の宿(岐阜県)にやって来ます。
その宿で吉次たちは、熊坂の長範(後シテ)率いる盗賊団に狙われている事を知り、相談していますと、事情を聴いた義経が一人で充分と、正面の門を開け待ち構えます。盗賊団は松明を投げ入れ、吉凶を占いますが全て消されてしまいます。火が消えるという最悪の占いの結果に一度は引き返そうとしますが、長範は名折れとばかりに立ち戻ります。しかし待ち構えていた義経は見事全員を退治するのでした。

この曲を勤められる子供は大変な幸運と言えます。九皐会では前回この曲を上演したのは30年前、観世喜正氏の子方卒業の折り、シテは先代観世銕之亟師(後の人間国宝)でした。九皐会では30年ぶりの上演という事になり、親子共々大変な名誉と喜んでいる次第です。

当日は駒瀬直也氏の「卒都婆小町」の披き、人間国宝 野村万作先生の「寝音曲」と、充実した番組です。
ご高覧賜れば幸いに存じます。よろしくお願い申し上げます。

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