「烏帽子折」を楽しもう!その2 | 能のHana

過去のHana「烏帽子折」を楽しもう!その2

2013.03.23

折り上がった烏帽子を着し見事元服を済ませた義経は、烏帽子の代物にと守り刀を差し出します。とても見事な代物でしたので一度は辞退する亭主ですが、義経に重ねて差しだされ、妻も喜ぶだろうと早速妻に見せに行きます。亭主は橋掛に行き幕に向って呼びかけますと、家の奥から現れるが如く、幕内より妻(前ツレ)が現れます。代物を自慢げに亭主が渡しますと、妻はそれを見るや涙を流します。不審がる亭主に妻はその刀の謂れを語ります。
自分は源義朝の重臣鎌田正清の妹で、常盤御前の三男牛若が生まれた時、義朝はこれを守り刀にと牛若に授け、その使いを自身がしたのだと言います。初めて知る事実に驚く亭主ですが、持ち主が牛若である事がわかり、大切な守り刀を改めて返しに行きます。牛若、正清の妹はそれぞれに名のりあい、亭主は守り刀を義経に返すのでした。夫婦は義経の今の身の上を嘆き、義経は名残惜しみながらも吉次たちと旅立つのでした。

ここでの役者の移動はかくの如くなります。
シテとツレは義経と別れ幕へ引きます。義経も旅立つ風情で後見座へと行き、入れ替わりに吉次、吉六が笛座の方から現れます。大きく舞台が回転するようなイメージで、ここが二度目の大きな場面転換となり、舞台は鏡の宿(滋賀県)から赤坂の宿(岐阜県)へと移ります。

吉次兄弟は赤坂の宿で夜盗による夜討がある事を聞きつけ、どうしたものかと相談しているところへ義経がやってきます。仔細を聞いた義経は最初に攻め込んでくる50騎100騎を斬れば撤退するだろう、それならば一人で充分と門を開けさせて待ち構えます。

この時代、氏素性というものは現代以上に重要視されていたと思うのですが、烏帽子屋の亭主はおおらかと言うか呑気と言うか、奥さんの素性、平たく言うとお兄ちゃんのことを知らずに夫婦になっていました!まぁ奥さんも平家の御代と言うことであれば源氏縁の者とは言いづらかったとも言えますが・・・。
そして芝居の脚色ではありますが、50騎、100騎なら一人で充分と言わせているところがすごいですね。その後の歴史を考えますと小気味いい話ではあります。

そしていよいよ、熊坂一味と義経の対決へと舞台は進みますが、その件は次回に!

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観世流能楽師 奥川恒治能のHana

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