Hana奥川恒治が綴る日々のblog

2013.11.01過去のHana今月の能「通小町」・「阿漕」

今月は珍しく能を二番舞わせていただきます。珍しいと言うより、あまりない事です。10日(日)は九皐会で「通小町」を15日(金)はのうのう能で「阿漕」を舞わせていただきます。

「通小町」は成仏を望む小町に取り憑く、深草の少将に扮します。少将は小町の成仏を妨げに現れるのですが、たとえ地獄の底でも小町と一緒ならいい、くらいの勢いです。でも小町は見向きもしないんです!舞台上で、少将は一生懸命小町に向かっていろいろするのですが、小町は「恐ろしい姿だ」と言ったきり、少将の方を向いて見ることさえないんです。悲しい片思いの極みですね。

「阿漕」では神前、それも伊勢神宮へ奉納するための漁場の禁漁区で、密漁を犯してしまう漁師の話です。漁師平治は単純に漁の虜になったというよりも、病の母親に精を付けてもらうために、漁をしたようです。「度重なれば現れる」古今集の恋の歌を絡め、「忍ぶ」・「重ねる」と破滅へ向かいます。

別種ではありますが、それぞれに人間の業に迫る2曲です。
深まる秋に奥行きを添える名曲、お運びいただけましたら幸いに存じます。

 

観世九皐会11月定例
平成25年11月10日(日) 13時開演 矢来能楽堂
能「通小町」
シテ:奥川恒治 ツレ:古川充 ワキ:大日方寛
笛:中谷明 小鼓:古賀裕己 大鼓:國川純

第37回のうのう能
平成25年11月15日(金) 19時開演 矢来能楽堂
能「阿漕」
シテ:奥川恒治 ワキ:御厨誠吾
笛:八反田智子 小鼓:森澤勇司 大鼓:柿原弘和 太鼓:大川典良

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