Hana奥川恒治が綴る日々のblog

2013.11.24過去のHana秋の能二番

通小町と阿漕のどろどろ二本立ても済み、秋を満喫したいところですが、冬の香りがしはじめました。

「通小町」では特に『少将』と銘のある、かなり不気味な顔の痩男を使わせていただきました。とても気持ち悪かったと評判も上々?でした。心が通わないとはかくのごときものか、と思い知らされるがごとく、小町は少将に見向きもしないんですね。少将は憤懣やる方ないわけですが、それでも最後は一緒に成仏しちゃうんです。昔から男女の間は摩訶不思議なものです。
ある方によりますと、それでも少将は満足なのでは??と…。

阿漕の漁師は、神前の禁漁区を犯す罪は免れないものの、自身の欲望のためではなく、病の母親に食べさせる魚を捕っていたというところに救いがありました。恋の歌を引いての問答など、似つかわしくないようなシチュエーションもありますが合点がいきます。今年は伊勢神宮の式年遷宮の年でもあり、阿漕は記念すべきご縁ある演能になりました。この漁師さんも母親に免じて、成仏できればと思っております。
「平治せんべい」という笠の形をしたお煎餅が伊勢で販売されています。そこには阿漕の物語が書かれています。ご興味のある方は伊勢にお出掛けの折りに、お求めになってはいかがでしょう。

厳しい二つの作品でしたが、ご来場いただきました皆様には、厚く御礼申し上げる次第でございます。ありがとうございました。

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