舞台のこと

2017.12.09

先月鎌倉能舞台で「六浦」を勤めさせて頂きました。「六浦」は紅葉の美しさを和歌に詠まれるという名誉を受け、以降紅葉を止めてしまう楓の物語です。
能はその後、紅葉しない楓を旅僧が見止める所から始まり、仏教の力により成仏するという物語です。
終演後、「成仏したということは枯れるといことでしょうか」と、質問がありました。「枯れるわけではないと思います」とお答えしたものの、我ながらなんとも消化不良でした。
やっとまとまりましたので、書きます。楓は「巧成り名遂げて身退くは天の道」という、知識と心を持った木でした。他の人に譲るということは、人でも容易くないことです。大袈裟に言えば人を超えた楓だったので、その部分が成仏したのではないかと思います。その後は楓らしく、生を全うしたのではないかと、考えるに至りました。
「草木国土悉皆成仏」、悉く皆が仏に成る。心は仏に導かれ、楓は木としての寿命を全うしたのだろうと、私は思います。

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観世流能楽師 奥川恒治能のHana

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