Hana奥川恒治が綴る日々のblog

2024.12.09舞台のこと...

 昨日九皐会で「鉢木」(はちのき)を勤めさせていただきまして、改めての所感を書いてみようと思います。
 稽古能、申し合わせ(リハーサル)、本番と今回は3回各御役にお相手いただきました。都度都度、流儀や配役の人が違っていましたので、とても良い経験になりました。
 今日は後シテの出の「早笛」(はやふえ)という、出の囃子につきまして。早笛とはだいたい太鼓が入って演奏され、龍神や稲荷明神のような、活発に激しく動くものに使われます。「鉢木」の場合は太鼓は入らず、しかも「よれによれたる痩せ馬」なので、早くも動けません。
 大正生まれの大先輩からは、「鉢木の後シテの出の早笛は、周りの軍兵を囃すものなので、それには乗らずに出るものです」と、教えていただいておりました。
 今回は申し合わせと本番の笛と小鼓の奏者が違いました。そうしますと、同じ「早笛」が全く違ったものになります。ここが能の面白いところなのです。稽古能より、申し合わせより、昨日の早笛はずっとシッカリ、単純にいうと「速度が遅い」になります。幕内に立ちながら、この位(速さ)ならば、乗って出たほうが合うな〜、などと思っておりました。
 その後、お流儀により、シテ常世の心情を表してカカル(速める)、痩せ馬を表してシッカリ(遅める)など、色々なことが判明、改めて能という芸能の奥行きの深さを認識しました。こういった所は、尽きることがなく、実に面白いところです。
 明日は「鉢木」第二弾を書いてみたいと思います!

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