Hana奥川恒治が綴る日々のblog

2025.04.15舞台のこと...

 「小塩」(おしお)、後シテで使用した面につきまして。
 「中将」という面の系統で、九皐会には「なりひら」という、中将よりもふくよかな童顔で、可愛らしい面があります。名前の通りですから、この面が「業平」役には似つかわしいです。ただ今回は2月九皐会の同じく業平が主人公の曲「雲林院」(うんりんいん)で、使用していました。装束は全く違う色の組み合わせでしたから、特に問題にはならないのですが、選択肢があるならば、その方がご覧いただくにも目先が変わっていいですね。今回は幸運にもご縁があったというわけです。
 銕仙会の馬野氏所蔵の「十六」(じゅうろく)という面で、名前の通り「敦盛」(あつもり)など、若い武者に似合いの面です。「なりひら」より気持ち精悍さがあり、キリッとしていましたが、顔にはあどけなさが残り、とてもいい面でした。「若狭守」(わかさのかみ)の銘がありましたので、桃山期ということになります。木も完全に乾ききっていて、しかも薄い作りなので、とにかく軽いので助かるのですが、取り扱いはかなり神経を使わなくてはいけない逸品でした。貴重な面を拝借しまして、たいへんありがたいことでした。
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