Hana奥川恒治が綴る日々のblog

2014.01.06過去のHana26年新年号

新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

早速ですが、演能のご案内です!!

1月24日(土)鎌倉能舞台で「二人静」を舞わせていただきます。この曲はとても変わった趣向になっていまして、菜摘女に静が憑くというものです。前半菜摘女に供養を頼んでほいと告げます。菜摘女が神官に報告していると再び憑き、静と名乗り回向を頼みます。後半は静と菜摘女が一体となり、美しい舞を舞います。

若竹能では「観阿弥・世阿弥・元雅」という能楽の流祖三代にわたる作品を、2回に渡って上演する企画公演を致します。それは親子三代それぞれが作り、現代に伝わる名曲の数々です。2月は観阿弥の能「百萬」、元雅の能「弱法師」、世阿弥曲の仕舞を、7月には世阿弥の能「山姥」と、観阿弥、元雅曲の仕舞、というように3代の曲が毎回揃う公演です。また、7月には法政大学教授の山中玲子さんに作者と作品について、通常の解説とは一味違った、別の角度からの新しい楽しみ方を提案、お話しいただきます。

2月の上演曲の「百萬」と「弱法師」は物語としては、親子再会の物語です。「百萬」は母と子、「弱法師」は父と子という違いはありますが、同じ親子再会の物語でありながら、シチュエーションは全く違うのです。観阿弥の、能という芸能自体を売り出したいという思いは、見た目の面白さが優先されます。ストーリーよりも面白さ。ですから「百萬」は最初の念仏踊りから始まって、最後まで舞尽くしになっています。芸尽くしで「こんなに面白い芸能があるんですよと」と言わんばかりの構成になっています。一方「弱法師」はそれぞれのキャラクター設定から複雑にしています。
シテは苦労の末、盲目となっていて、ワキは子供を勘当したことを悔やみ、施しをしています。日想感(彼岸の中日に入り陽に向かって手を合わせると極楽浄土に行ける)という思想をモチーフに、悟りと狂いという両極の世界を描きます。
どちらも親子が再会しハッピーエンドになるのですが、面白さを追求した「百萬」と、人間の内面に切り込んでいる「弱法師」。それぞれの趣向が全く違う2曲を、祖父と孫という作曲者の観点からもお楽しみいただければと思っております。

私は観阿弥の作品「百萬」を舞わせていただきます。今回子方を勤めますのは埼玉県蓮田市でお稽古をしております、小学5年生です。2年生で稽古を始めた子が4月から6年生かと思いますと、時の流れの速さに驚きますが、彼との共演もとても楽しみにしています。
ご多忙の折と存じますが、お運びいただけましたら幸いに存じます。

今年も「能のHana」よろしくお願い申し上げます。

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