Hana奥川恒治が綴る日々のblog

2021.08.17舞台のこと...

 今日も雨模様の一日、梅雨のようですね。西の方ではまた物騒な話になって、被害の出ない事を願います。
 来月、9月12日㈰に、九皐会で「梅枝」(うめがえ)という曲を、勤めさせていただきます。「富士太鼓」の後日談になる曲で、管弦の太鼓の役をめぐり殺された夫を慕い、妻はこの世を去っても尚、形見の太鼓や装束から離れることができず、執心が残る話です。
 旅僧が雨宿りに訪ねた家には、管弦のための太鼓や装束がありました。不審に思う僧に、女主は昔の悲しい物語をします。女主は僧に回向を頼み姿を消しますが、やがて読経する僧の前に、夫の形見の装束をつけ現れます。夫を懐かしみながら舞進めるうちに、静かな恋慕から高揚した狂いへ、そして夜明けとともに面影だけが残ります。
 生きているはずの人の不幸は、古今を問わず辛く悲しい事になります。富士の妻にとっても、夫と唐突な死別は、残された子供と二人、どれ程辛く心細かったことかと思われます。

観世九皐会9月定例会

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