Hana奥川恒治が綴る日々のblog

2020.02.17舞台のこと...

「弱法師」の稽古をしていますと、「清澄」とい文字が浮かびます。とは言うものの、シテのサシの文章は、男女のことを言っています。古い形では、奥さん役のツレを出したそうなので、「無垢」とは異なり、男女間の内容を謡う文章にも合点がいきます。それでも、現代のように、一人で橋掛に佇んで、謡っている姿は、静かで澄んだ世界を思い描きます。
「静謐」な世界、難しいですね。日常の中の悟りと申しますか、達観した目を持ちながら、往来の人にぶつかってしまう、盲目という現実も突きつけられます。
誰かを恨むわけでもなく、現実を受け入れて暮らす俊徳丸。父との再会は幸福な事ながら、その目は再び開くことはないのでしょう。ちょっと切ないものが残る曲です。

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