Hana奥川恒治が綴る日々のblog

2021.08.31舞台のこと...

 早いもので、明日からは9月になります。今年も落ち着かないまま、時間は変わりなく流れていきます。
 来月9月12日㈰は九皐会の1部で、シテを勤めさせていただきます。曲は「梅枝」入門稽古本の中巻に入っている、「富士太鼓」という曲の、あと話になります。
 太鼓の役を望み都に上った富士の夫は、浅間という同役のライバルに殺害されます。
 「富士太鼓」は、それをリアルタイムで知る、富士の妻が狂う現在物です。
 「梅枝」のあと話というのは、その後、富士の妻は亡くなった後も、その執心が形見の太鼓に残るというものです。「梅枝」では、後半の夫の形見の装束を着けて舞う部分は、哀愁の狂いとなります。夫を慕い、形見の太鼓に心を残した妻は、どれ程の時が過ぎたことか。後半の美しく華やかな詞章は、音楽葬のようでもあり、哀切の極みとなっています。
 この度は、古式の作り物にて、より当時を実感して頂こうと思っております。ぜひ、お出掛けください。お待ちしております。

観世九皐会9月定例会

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