観世流能楽師奥川恒治 能のHana

　今日は昨日の気温と雨がウソのように晴れ、日中は気温も上がりました。大型の台風2号が、気になるところで、被害をもたらさないでくれることを願います。
　今日は埼玉県与野での講座、「朝長」の4回目になります。かつて傳(めのと)であった僧の、弔いがはじまりました。「観音懴法」(かんのんせんぼう)で弔われるのですが、謡の詞章では朝長が尊んだと、されています。
　能では「懴法」(せんぼう)という、小書(替え演出)があります。これは大変重い、極めて特別なものになりますので、宗家クラスの演者のみが、勤めることができます。観世音菩薩さまを中心に据え、仏教的な罪を懺悔(さんげ)するというのが、懴法です。
　前半から漂う死のにおいと、この懴法があるため、この曲はとても重く、極めて特殊で特別な扱いの曲となっています。