舞台のこと

2020.09.16

 今日は雨の予報でしたが、降られずに済みました。過ごしやすい気候なので、嬉しい感じです。
 本年の奥川恒治の会の上演曲「一角仙人」は、本来「道成寺」のために、ご出演いただく予定の出演者を、欠くことなく上演するために、選曲したのがきっかけです。時間的に短く、内容は現代にそのまま通じる、解りやすい滑稽を描いたもので、今の時節柄「ふふっ」と、笑みがこぼれるような曲で、相応しいと思いました。私としましても、女色と酒にめっぽう弱い、このキャラクター、どこがで演じてみたいと思っていましたので、絶好の機会となったわけてす。
 講座の曲も「一角仙人」に変更したものの、あまりにもストーリーが明快なので、お話しする内容があるのかしらん、と心配した事もありました。それが、調べてみますと驚きの事実が!
大乗仏教の大智度論(だいちどろん)によりますと、こんなふうに書かれています。
 この仙人は釈尊の前身にして中インド波羅奈国(はらなこく)の山中にて、仙人と牝鹿との間に生まれ、頭に一角ありてその足鹿に似たり。一角、父仙に教育を受け、18種の大経に通じ、5種の神通力を有した。或る時山中で大雨に遭い、歩行に悩み雨神を岩屋に禁じて久しく国を旱魃(かんばつ)ならしめた。或る時一女の言うことを受け入れて、その禁を解きしことあり。其の一角仙人は我にして、一女旋陀夫人は我后妃の前身なり」
 要するに、お釈迦様の前世の姿で、ハニートラップの夫人は、出家前の妻だったわけですね。
 なんという構想、ここに改めて、能楽700年の奥行きを、感じずにはいられませんでした。学べば学ぶほど、深淵さを肌身に感じられ、面白いです。舞台としましては、能としての遊興、攻めてみたいと思います。
 朝の善福寺川には、カモ一家戻っておりました。

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観世流能楽師 奥川恒治能のHana

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