Hana奥川恒治が綴る日々のblog

2021.03.04コラム...

 今日の日中は昨日より気温が上がりました。ありがたいのですが、寒暖差が激しいのがタマニキズです。
 時間ができますと、母親のもとへご注文の品を届けに参上します。90歳を超えまして、食欲は衰えないようで、序にお口も達者です。記憶力に至っては「この間は○日に来たわね!」と、「覚えてるの?!」とこちらが驚ろいてしまいます(笑)。以前のように気軽に顔を合わせられないのは残念ですが、もう暫くのことと、時節を待っております。
 嬉しい便りがありまして、私が愛してやまない「組み紐」、今回は面紐(めんひも)を職人さんに頼んでおります。面紐は文字通り、能面の左右に専用の紐を通し、その紐を後頭部で縛り、演能中の能面を固定するものです。強過ぎれば血が止まって脳貧血となり、緩ければズリ落ちてきます。加減は好みも含め、自分の体で覚えなければいけません。
 その面紐多くは黒色なのですが、他の色の場合は、糸の染め付けから打ち合わせが始まります。この色が大切で、面装束と違和感の無いようにしなければなりません。糸の状態と組み上がって紐になった状態では、陰影が付くため、色の印象が変わります。その点も含め職人さんと相談しますので、作業は専門職ならではの仕事、となるわけです。舞台でも見過ごされそうな道具の一つながら、技と心が込められているところが、魅力的です。
 今日の染め上がった糸が組み上がって面紐となり、舞台に上がる日が楽しみです。

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