Hana奥川恒治が綴る日々のblog

2021.03.11コラム...

 3月11日、今日は忘れられない日、忘れてはいけない日。10年前、20数年ぶりに出た稀曲の申し合わせを済ませ、矢来能楽堂でひと息していた時に、地震はやって来ました。経験したことのない衝撃、体験でした。
 あれから10年目の本日、4月から内弟子入門のための、高校生が喜之家へご挨拶に伺いました。
 我々の世界はちょっと特殊なので、令和の今も昔と変わらぬ、住み込みの内弟子修行をします。通っても済みそうですが、24時間離れることがない生活の中で、文字や言葉では得られないものが、身に付きます。これが大切で、師匠や先輩たち、スタッフお客様に至るまで、絆ができます。本人にとっては、力にも支えにもなるものです。
 入門日も決まり、いよいよスタートラインに立つ日が決まりました。ここからは本人次第です。
 3月11日という日が、夢と希望に満ちた門出の日になることを願います。十年後は、彼が立派な青年能楽師に育っていることを、楽しみに見守りたいと思います。
 蓮田慶福寺のしだれ桜は、ポツリポツリと咲き始めました。

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