能のHana

コラム

2021.10.03

 お向かいのお家のお母様が他界されました。今の時期なので、ご身内で済まされたとのことでした。
 今の家に引っ越しまして12年目になりましょうか、当初からご一緒で、私はお茶に誘われ、お邪魔することもありました。
 多趣味な方でしたが、中でも能の謡のお稽古が、ことにお好きだったそうです。私が能楽師であることを、お知らせしますと、お話しがはずみました。
 ある時「うちの娘の勤めている学校で公演されるのね!」と、驚くべき偶然ながら、とても喜んでいただけました。私もご息女のお勤め先を存じなかったので、不思議な偶然に、たいそう驚いたことを覚えております。
 私の住んでいる家は、向こう三軒両隣のような所で、美味しい物など、お互いの家を行き来するやうなところです。「これ美味しいのよ、召し上がって!」と、シャキシャキとした、爽やかな笑顔でいらっしゃったことが偲ばれます。
 お手向けに「卒都婆小町」(そとわこまち)を、謡わせていただきました。「花を佛に手向けつつ。悟の道に入らうよ」お耳に届いてくれることを、願います。合掌

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観世流能楽師 奥川恒治能のHana

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