Hana奥川恒治が綴る日々のblog

2023.05.18舞台のこと...

 今朝は「ことのは能」の「隅田川」の稽古に参りました。シテは鈴木啓吾氏、内弟子時代を一緒に過ごした兄弟弟子です。私は「隅田川」の地頭を勤めさせていただきます。
 今回は子方を出さない演出でやるそうで、若干の変更箇所も出てきます。子方を出す出さないというのは、この曲が出来上がった頃から、世阿弥と息子の元雅で議論の対象となっていました。子方は母に見えているので出さなくていいという世阿弥と、子方がなくては演じられないとする元雅。
 大方は子方を出す方が多く、私もそちらで勤めさせていただきました。「母の目には見えている」とする世阿弥の主張は、夢幻能的に思えます。夜の闇にまぎれ現れる梅若丸の亡霊は、夜明けとともに消えていく、まさに世阿弥の夢幻能の世界です。
 最後の親子の再会と別れを、地謡の言葉で作り上げますので、よくよく準備をして臨みたいと存じます。

カテゴリー

バックナンバー