Hana奥川恒治が綴る日々のblog

2017.06.04舞台のこと...

鎌倉の「県民のための能を知る会」に出勤して参りました。「玉葛」と「半蔀」の2番で、後見を勤めました。鎌倉の舞台は寸法が少し小さいので、「半蔀」のように作物を出して、更に出入りをするような曲は大変です。その作物は竹製の人が中に入って立てる大きさで、そこに蔀戸を付け、上げ下げして出入りするわけです。蔀は竹の棒で上げて開け、シテはそこから出、最後はそこに戻り竹の棒を下げて蔀を閉めます。その操作を後見がするのですが、シテと呼吸を合わせて、滑らかに開閉するだけでもなかなか難しいのです。それが作業する横板(バックヤード)が小さいと、難易度が上がるわけです。今日はなんとか無事に済み、ほっとしました。
源氏物語シリーズの2曲、「半蔀」の主人公は夕顔(母)、「玉葛」の主人公は玉葛(娘)と言うことになります。二人とも原典の源氏物語では運命に翻弄され、主体的な意思をはっきりさせない女性像でしたが、それは能の中にも反映されているようです。それにしても「半蔀」は、極めて風情のいい曲と言えましょう、風情を楽しむ、それも能の面白さの一つの面だと思います。

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