2011年06月06日 望月その四過去のHana

今回上演致します「望月」は現在物という、生きている人たちが繰り広げるドラマなので、それぞれに事情を抱えた人たちのやりとり、ばかし合いが一つの見どころになっています。

親子と家臣が再会した喜びの余韻を噛みしめる暇もなく、現れる仇望月。油断なく名を隠して旅をする望月、迂闊にも供人は苗字を口走ってしまい友房に知られてしまう失態と走る緊張。

望月と知るや仇討へと逸る花若を制しつつ、計略を実行していく友房。そして命を掛けたお座敷芸が始まります。曽我兄弟の仇討の件を謡おうという母に、詰め寄る望月の供人。微妙な緊張を保ちつつ始まる謡の中、暴発する花若。その刹那、座の緊張はピークに達し身構える望月と供人、機転を利かせその場をしのぐ友房。手に汗握り、固唾をのむといった名場面です。

そんな芝居の面白さに加えて扮装の...続きを読む

2011年05月30日 望月その三過去のHana

前回は「望月」のストーリーをお話申し上げましたので、今回は舞台進行をお話したいと思います。

囃子、地謡が座に着きますと、最初に小沢友房(シテ)が登場し名のります。ここではさる事情があって兜屋という宿屋の亭主になっていると含みを持たせながらも、詳しくは話さず座に着きます。

場面は変わり安田友治の妻子(ツレ・子方)が登場します。二人も名のり、そこで夫友治が望月に討たれ一家は離散したことを述べます。二人は逃避して近江の国の守山の宿、兜屋へとやってきます。訪れた二人を見るなり友房は気が付き名をなのり、三人は思いがけない再会に喜び合います。

そしていよいよ仇、望月秋長(ワキ)の登場です。秋長は友治殺害のため都で13年にわたる訴訟を無事に済ませ、喜び勇み本国信濃への帰国の途時、この兜屋に泊まります。秋長は供人(アイ)...続きを読む

2011年05月23日 望月その二過去のHana

能の形容の代名詞に「幽玄」といった表現があります。過去の事象を蘇らせつつ、夢の中で主人公は思いを語り舞います。心情的なものを除いて、見た目の感じで話をしますと優雅であったり颯爽としていたりとなります。ところがそれとは全く違う所に位置するものが現在能と呼ばれるもので、「望月」もその一つとなります。登場人物は全て生きている人で、その人たちが繰り広げるドラマが現在能です。なので伊勢物語や源氏物語を事前に調べて、ということもなく大まかなストーリーを把握していて、見て単純に楽しめます。

能「望月」: 安田友治 やすだともはる は望月秋長(ワキ)と口論となり秋長に殺害されてしまいます。友治一家は離散し、妻子...続きを読む

2011年05月17日 望月その一過去のHana

早いもので5月も半ばを過ぎました6月26日には私の会を催します。本年の私の会のご案内方々、テーマなどお話を申し上げたいと存じます。

私は昨今人との「絆」や「縁」といったことをよく思います。意識的な行為で救われたり、力添えができたり、また思いもよらぬ偶然に感謝したり、されたり。二つの文字は人の世で考えてみますとどちらもそのつながり方を表しているように思います。
「絆」は人の意思が働いているもの、「強い絆で結ばれている」とか「絆を断つ」などと使われ、この度の会のテーマの一つとして絆を宿命としました。
「縁」は意思とは別に働いているもの「ご縁がある、ない」などと使われ、縁を運命と考えてみました。とても大まかなくくり方ですが、この二つが絡みあって人の世のつながりができているのだと思います。

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2011年04月01日 神と仏、自然への祈り過去のHana

この度のHanaではご案内とご提案を申し上げます。

先日世田谷美術館で展示の立会いをして参りました。
それは白洲正子生誕100年、世田谷美術館開館25周年記念の特別展示会、「白洲正子 神と仏、自然への祈り」 と題された特別展に九皐会所蔵の翁面「白式尉」が出品されたからです。この特別展は白洲正子さんが訪ねた寺社の名宝を約120件集め、展示公開するという企画展です。私はその準備に伺ったわけですから当然のことながら展示作業中、とはいえ完成展示されているものが大方でしたがこれからという物もあり、普段見ることのできない作業工程なども拝見できました。また、貸し切り状態で間近に展示物を拝見させて戴き、お手伝いとは言いながら大変贅沢なひと時を過ごしました。展示物の中には通常現地行っても見ることのできない物も展示されていました。

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観世流能楽師 奥川恒治能のHana

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